新旧DURA-ACEペダルを比較。PD-R9300は何が変わった?

シマノから、新しいDURA-ACEペダル「PD-R9300」が登場しました。

ロード用ビンディングペダルは、2003年から続いたSPD-SLから、新しい「SPD-SLR」へ。PD-R9300は、その最上位となるDURA-ACEグレードのペダルです。

同じSPD-SLRを採用したULTEGRAグレードの「PD-R8200」も登場しています。

見た目は従来型とよく似ていますが、足裏をペダル軸へ近づけること、クリートをはめやすくすること、軽量化が大きな変更点です。クリート位置の調整方法も変わり、シューズまで含めて見直されています。

新しいペダルとクリートに加えて、SPD-SLRに対応したロードシューズ「RC8(SH-RC810)」も店頭に入荷しています。RC8は、最上位モデルのRC9の機能を取り入れながら、価格を抑えたモデルです。

スタッフ用には、まだ届いていませんが、その最上位モデルとなる「S-PHYRE RC9」をオーダーしています。ペダルとシューズの実走レビューはRC9が届いてから、後日改めて紹介します。

今回は実際に走った感想ではなく、店頭にある新旧のペダルとクリートを比べながら、何が変わったのかを見ていきます。

新旧ペダルはどこが変わった?

新型PD-R9300と従来型PD-R9100の比較

左が新しいPD-R9300、右が従来のPD-R9100です。

並べてみても、形が大きく変わった印象はありません。最上位グレードらしいカーボンボディです。ぱっと見では、すぐには違いが分からないかもしれません。

2.3mm低くなったのは、クリートだけではない

新旧SPD-SL・SPD-SLRクリートの側面比較

新旧DURA-ACEペダルの側面比較

新しいSPD-SLRでは、スタックハイトが従来より2.3mm低くなっています。

写真でクリートを比べると、後ろ側の形が少し違う程度で、「ここが2.3mm薄くなった」と分かるほどの差はありません。2.3mmという数字はクリート単体の薄さではなく、ペダルとクリートを組み合わせた状態での差です。

シマノはペダル、クリート、シューズをまとめて作り直すことで、足裏をペダル軸へ近づけています。

スタックハイトが低くなると、どうなるの?

足裏がペダル軸へ近づくと、ペダルを踏んだ時のダイレクト感が増すと言われています。シマノが狙っているのは、足元の安定感や、バイクとの一体感を高めることです。

例えるなら、厚底の靴からベアフットシューズへ履き替えるような感じでしょうか。地面に近くなって、足元の感覚が伝わりやすくなる。ベアフットシューズに近い考え方だと思います。

もちろん、2.3mm低くなったから急に速くなる、という話ではありません。それでも、いつも乗っている自転車であれば、なんとなく踏みやすくなったとか、ペダルの上で安定するという違いは出ると思います。

実際に違いが分かるのか。このあたりは新しいシューズ・RC9が届いてから試してみたいところです。

クリートがはめやすくなった?

新しいPD-R9300は、クリートを拾う範囲が広くなっています。シマノによると、ステップイン時の角度は従来の15.5度から10.5度になりました。

信号からの再スタートや、坂道で一度足を着いた場面では、クリートがなかなかはまらないことがあります。そこが少し楽になるなら、速さよりもこちらの方が普段はありがたいかもしれません。

クリートの前後位置の調整方法が変わった?

新旧SPD-SL・SPD-SLRクリートを斜めから比較

新しい赤・青・黄のSPD-SLRクリートは、従来のSPD-SLクリートと形が変わり、軽く、低くなっています。

もうひとつ変わったのが、クリートを前後へ動かす方法です。新しいシステムでは、主にシューズ側の取り付け穴を動かして調整します。

そのため、新しいRC8とRC9では、シューズ側のクリート取り付け範囲が広げられています。

左が旧型RC9PWR、右が新型RC8のクリート前後調整幅の比較

写真は、左が旧型のRC9PWR、右が新しいRC8です。比べてみると、右のRC8はクリート取り付け穴の前後の調整幅が少し大きくなっています。

写真の向きで見ると、調整幅は上下に均等に広がったというより、どちらかというと下側、かかと側へ伸びているように見えます。

今までのシューズでも、クリートを極端に前や後ろへずらして使っていなければ、シューズはそのままで、新しいSPD-SLRクリートと新型ペダルを使えそう、という印象です。

新しいクリートは、従来のSPD-SLペダルにも使えます。前後の調整幅は小さくなりますが、これまでのクリートを取り付け位置の中心から大きくずらしていなかった方なら、従来のペダルとシューズのまま使えます。

反対に、クリートを大きく前や後ろへ動かしていた方は、これまでと同じ位置にできるか確認が必要です。気になる方は、交換前に店頭で確認します。

前後位置をクリート側でも調整できるグレーのCL-SL130も用意されています。ただし、こちらは調整範囲を確保するためのモデルで、新しい低スタッククリートと同じ軽さや低さにはなりません。

なぜRC8とRC9も同時に新しくなったのか

今回のSPD-SLRでは、ペダルだけでなく、クリートとシューズも一緒に新しくなりました。

そのため、対応シューズとして「SH-RC910」と「SH-RC810」も同時に登場しました。

RC9ことSH-RC910は、シマノのロードシューズでは最上位にあたるS-PHYREシリーズです。かかとを支える部分やソールにカーボンを使い、足をしっかり支える作りになっています。

一方のRC8、SH-RC810は、RC9の作りを取り入れながら、少し選びやすい価格にしたモデルです。BOAダイヤルはRC9と同じく2個。かかとの支え方やソールの作りなどに違いがあります。

レース用の一番上のモデルがRC9で、RC8はその機能を取り入れた、もう少し身近なモデルと考えると分かりやすいと思います。

RC8とRC9に共通している重要な変更が、シューズ側のクリート取り付け範囲です。

クリート単体を見ると前後へあまり動かせないように見えますが、新しいシューズでは取り付け穴そのものを動かせます。だからペダルと一緒にシューズも新しくなった、ということのようです。

なお、新しいペダルを使うために、必ずRC8かRC9へ買い替えなければならないわけではありません。一般的な3穴タイプのロードシューズでも取り付けできますが、シューズによっては希望するクリート位置を再現できない可能性があります。

店頭には販売用のRC8が入荷しています。ただし、スタッフが実際に履いて試したものではありません。スタッフ用のRC9が届いたら、履き心地や、これまでのシューズとの違いも確認してみます。

重量も比べてみました

新型DURA-ACE PD-R9300の実測重量

従来型DURA-ACE PD-R9100の実測重量

実測では、新品のPD-R9300が片側113g、新品のPD-R9100が片側119gでした。

どちらも新品で、今回の実測では新型が片側6g軽い結果になりました。個体差もあるので、数字は参考程度に見てください。

従来型SPD-SLクリートと取り付け金具の実測重量

新型SPD-SLRクリートと取り付け金具の実測重量

クリートと取り付け金具は、旧型が片側35g、新型が片側27g。今回の実測では片側8g、左右で16g軽くなりました。

シマノは新しいSPD-SLRクリートについて、従来比で最大22%軽量化したと説明しています。ペダルよりも、クリートの方が数字の差は分かりやすく出ました。

結局、どうなの?

新旧を並べても、PD-R9300は驚くほど薄く見えるわけではなく、デザインも大きくは変わっていません。

それでも中身を見ると、足裏をペダル軸へ近づけること、クリートをはめやすくすること、シューズ側も含めてクリート位置を調整することなど、細かな部分が変わっています。

新しいSPD-SLRは、ペダルだけを新しくしたというより、シューズからペダルまでの接点を作り直したシステムと考えた方が分かりやすそうです。

スタッフ用のRC9が届いたら、PD-R9300と組み合わせて実際に走ってみます。クリートは本当にはめやすいのか、普通に走って2.3mmの違いが分かるのか。そのあたりは、また改めて紹介します。

店頭ではPD-R9300、新しいSPD-SLRクリート、RC8を実際にご覧いただけます。クリート位置やシューズとの組み合わせが気になる方は、ご相談ください。


参考:

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