軽いホイールを選べば、速くなる? ENVE SES 6.7 PROが気になる理由
ホイールを交換するなら、今より軽いものがいい。
上りも楽になりそうだし、踏み出しも軽快になりそう。僕らも、新しいホイールを見ると重量は気になります。
最近は中国メーカーを含め、軽量なホイールの選択肢が増えてきました。重量と価格を並べて、どれにしようか考えている方も多いと思います。
ただ、いろいろなホイールを試すうちに、軽ければ速いのかというと、それだけではないと感じるようになりました。先日試したDURA-ACEも、そのひとつです。
そんな僕らが気になっているのが、今回入荷したENVE SES 6.7 PRO。店頭の試乗用として購入しました。
実際の走りについては、近日公開の動画でお伝えする予定です。その前に今回は、乗る前に気になっていたこと、いつものコースで確かめたいと思ったことをまとめておきます。
公称重量は前後1,495g。軽さだけなら、ほかにも選択肢があります。
それでも、自分のロードバイクにこのホイールを履かせたら、と考えてしまいます。いつもの平坦で、そろそろ脚がきつくなるあたりから、もうひと踏みしたらどうなるのか。いつもの道で、今までと違う伸びを感じられるのでしょうか?
もうひと踏みしたくなるホイールとは?
見通しのいい平坦路で、少しペダルに力を込める。
速度が乗ってきて、もうひと踏みすると、ギューンと景色が流れていく。
峠を上り切ったときの達成感もいいけれど、平坦を気持ちよく飛ばすのも、ロードバイクの楽しさのひとつだと思います。
いつもなら、ここでひと息つきたくなる。でも、もう少し踏んでみたい。そんなふうに思えるホイールだったら、いつものサイクリングも変わりそうです。
気になるのは、加速した一瞬だけではありません。速度が乗ってからペダルを回し続ける感触や、少し力を足したときの反応。その違いを味わってみたいのです。
先日のDURA-ACEでは、竹之下が踏んだときの剛性感や、前へ進む感覚に違いを感じていました。
もちろん、気持ちよく進む感覚と、同じ出力で速く走れることは、分けて考える必要があります。それでも、仕様表を見ているだけでは想像できない違いがあると思います。
200g軽いホイール
ENVEには、前後1,295gのSES 4.5 PROがあります。6.7 PROとの差は200gです。
上りのあるコースなら、軽い4.5 PROを選びたくなります。でも、上りへ向かうまでの平坦や、緩やかなアップダウンを走る時間もあります。
6.7 PROが重視しているのは、そうした高速巡航の場面です。
フロント59mm、リア65mmのリムは、28mmタイヤを基準に空力を追求した設計。一方の4.5 PROは、空力性能を大きく損なわずに軽量化し、山岳やアップダウンでの走りを狙っています。
UAE Team Emirates-XRGでも、コースに合わせて両モデルを使用しています。公式の記事によると、ツール・ド・フランス2026の平坦・高速ステージで6.7 PRO、山岳ステージで4.5 PROの使用が紹介されています。
では、僕らが走る平坦や、少しずつ勾配が変わる道ではどうでしょうか。軽い4.5 PROを選びたくなる上りでも、緩い区間を勢いよく進めるなら、6.7 PROも面白そうです。
上り始めに重さを感じるのか。それとも、走っているうちに200gの差が気にならなくなるのか。自分の脚で、いつものコースを走ってみたくなります。
SES 6.7 PROの基本仕様
| 項目 | SES 6.7 PRO |
|---|---|
| リムハイト・前/後 | 59/65mm |
| 公称リム内幅 | 22.5mm |
| ハブ | INNERDRIVE PRO |
| 公称セット重量 | 1,495g |
| 国内価格・税込/前後 | 710,600円 |
※重量はリムテープ・バルブ込みです。
新しいリムは、風洞テストでどうか?
ENVEは、各モデルや他社ホイールを比較した風洞実験の結果を公開しています。
以下は、ENVE MeleeにSESタイヤを装着し、48km/hで測定したメーカー公開データです。
上の散布図を見ると、軽いホイールが必ずしも空気抵抗も小さいわけではないことがわかります。なお、測定時のタイヤサイズが異なる点にも注意して見たいデータです。
ただ、48km/hで測定した空力性能の差が、僕らの普段の速度でも同じように表れるとは限りません。
僕らが知りたいのは、グラフの差が、ペダルを踏む脚にどう伝わるかです。同じくらいの力で走って、いつもの区間の速度が少し上がるのか。向かい風の中でも、もう少しペースを保てるのか。
あるいは、速度計を見なくても「今日はよく進む」と感じるのか。風洞の数字を見ていると、その感触を確かめたくなります。
内幅22.5mmって、どうなのか?
僕が意外に感じたのは、リム内幅です。
最近のワイド化の流れから、6.7 PROも25mmになるのかと思っていました。ところが、公称値は22.5mm。
ただ、この数字には測る位置の違いがあります。
6.7 PROは0.5mmの小さなフックを持つ構造で、22.5mmはフック間の寸法。フックの下、タイヤのビードが収まる部分は23.5mmです。
4.5 PROも同様で、公称内幅23.5mmに対して、フック下の幅は24.5mmです。
| モデル | 公称内幅 | フック下の幅 | 外幅 |
|---|---|---|---|
| SES 4.5 | 25mm〈フックレス〉 | 25mm | 32mm |
| SES 4.5 PRO | 23.5mm | 24.5mm | 30.8mm |
| SES 6.7 PRO | 22.5mm | 23.5mm | 30.5mm |
※6.7 PROの外幅はBikeRadar掲載値。4.5と4.5 PROはENVE公式仕様です。
6.7 PROは、4.5 PROより外幅が0.3mm細いだけ。内幅の数字を見たときほど、外形の幅に大きな差があるわけではありません。
小さなフックには、どんな意味が?
6.7 PROは公式仕様では「Hooked(フック付き)」ですが、小さなフックを持つセミフック構造。実質的にはフックレスの延長にあるリムと捉えていいと思います
使用するタイヤも、メーカーが指定するフックレス対応のチューブレスレディタイヤです。
この構造の背景を知る手がかりになるのが、4.5 PROについてのENVE担当者の説明です。
リム上端の幅を残して、その下の材料を減らすことで軽量化し、その結果として小さなフックができる。さらに、将来UCIがフックレスに不利な判断をした場合への備えにもなる、と述べています。
現在のUCI規則がフックを義務付けている、という話ではありません。また、これは4.5 PROについての説明なので、6.7 PROの採用理由まで同じと断定はできません。
リム側の重さは、走りにどう出るのか?
4.5 PROと比較すると、同じINNERDRIVE PROハブを使いながら、リム重量には次の差があります。
| リム重量 | SES 4.5 PRO | SES 6.7 PRO |
|---|---|---|
| フロント | 369g | 462g |
| リア | 383g | 478g |
| 前後合計 | 752g | 940g |
ホイール全体の200g差に対して、リムだけで188gの差。主に外周側に重量差があるわけです。
外周側の重さやその分布は、回転の慣性やジャイロ効果にも関わります。特にフロントでは、向きを変えるときの感覚や、高速でのハンドリングにどう表れるかが気になります。
もちろん、安定性にはリム形状や横風、タイヤ、バイクの設計も関わるので、「重いから安定する」と簡単には言えません。
コーナーを抜けて踏み直したとき、すっと反応するのか、少し力が必要なのか。下りでは、狙ったラインへ自然に入っていけるのか。重量の違いは、こうしたひとつひとつの動きで確かめたいと思っています。
いつもの道が、どんなふうに変わるのか?
僕らホビーライダーにとって、乗って楽しいことは大切です。走り終えたときに「もう少し走りたかった」と思える。ホイールを替えてそんな気持ちになれたら、次の休みが楽しみになります。
そして、速く走りたいと思って選ぶなら、実際の速さも確かめたい。同じくらいの力で平坦を走ったときの速度や、上りを含むいつものコースでのタイムはどう変わるのか。条件をできるだけそろえながら見ていきたいと思います。
軽いホイールを選ぶつもりだったのに、乗ったら6.7 PROが欲しくなってしまうのか。それとも、自分の走り方には軽いホイールのほうが合っているのか。
自分のバイクだったらどうだろう、と想像しながら、実走の動画も楽しみにしてもらえたらうれしいです。
SES 6.7 PROは、試乗用として準備を進めます。試乗開始の時期や方法は、準備が整い次第お知らせします。
平坦での伸び、上りでの感触、下りのハンドリング。そして、気持ちよさと実際の速さはどうだったのか。実走の様子と感想は、近日公開の動画でお伝えします。
気になっている方は、ぜひ店頭で声をかけてください。