ギアを減らしたら、ロードバイクが楽になる?

ロードバイクのフロントギアは2枚。そう思っていると、このS5を見て「あれ?」となるかもしれません。
前のギアは、1枚だけ。フロントディレイラーもありません。
「ギアを減らしたら、坂で困るんじゃない?」「せっかくのロードバイクなのに、もったいなくない?」
そんな疑問もあると思います。でも、フロントシングルには、変速を気楽にしてくれる面白さがあります。
坂に差しかかったときや、信号から走り出すとき。普段は無意識にやっている変速を、もう少しシンプルにしてみる。今回は、そんなロードバイクの組み方の話です。
坂の手前で、何を考えていますか?
平地をアウターで走っていて、前に坂が見えてきた。そろそろインナーに落とそうか。でも、落とすと急に軽くなりすぎるから、リアも何段か調整して……。
慣れていれば自然にできる操作です。それでも、前を変えるタイミングと、変えたあとのペダルの重さは、どこかで気にしているはずです。
フロントシングルなら、前を変える判断がなくなります。重いと感じたらリアを軽いほうへ。軽すぎたら重いほうへ。ひとつの順番でギアを選んでいけます。
国内の実走レビューにも、登りで一段軽くする気楽さを評価する声がありました。海外のレビューでも、操作が単純になることが魅力として挙げられています。
前後の変速を組み合わせなくていい。この小さな違いが、フロントシングルの良さです。

インナーギアがないと、登れない?
このS5は、前が50T、後ろが10–46T。大きなチェーンリングを見ると、登りがきつそうに感じるかもしれません。
でも、ペダルの重さを決めるには、後ろのギアとの組み合わせを見る必要があります。
このS5のいちばん軽い50×46のギア比は、約1.09。フロントダブルの34×30は約1.13、34×34は1.00です。同じタイヤ外周なら、50×46は34×30より少し軽く、34×34よりは重い組み合わせになります。
例えば、この方はフロント50Tですが、僕なら46Tを選びます。リアが同じ10–46Tなら、いちばん軽い組み合わせは46×46。ギア比は1.00で、フロントダブルの34×34と同じです。
では、重い側のギアはどうでしょう。46×10のギア比は4.60で、フロントダブルの50×11は約4.55。46×10のほうがわずかに重く、同じタイヤ外周なら、同じペダルの回転数で走る速度もほぼ同じです。
つまり、前が46Tでも、軽い側は34×34と同じで、重い側は50×11とほぼ同じ範囲をカバーできます。前のギアの大きさだけを見ると小さく感じますが、リアの10Tとの組み合わせまで見ると印象が変わると思います。
インナーギアがなくても、前後の歯数の組み合わせで、登りに使う軽いギアは作れます。前のギアが1枚か2枚かだけでは、坂の走りやすさは決まりません。
必要な軽さは脚力や勾配、走る距離によって変わります。このS5の50Tも、僕が選ぶ46Tも、それぞれの走り方に合わせた選択です。普段どんな道を走るのかを考えて、前後の歯数を選ぶことが大切です。

ギアが細かいほうが、いつでも快適?
気になるのは、隣り合うギアの間隔です。広いギアの範囲を1枚のチェーンリングでカバーすると、ダブルの構成に比べて、変速したときの重さの変化が大きくなる場面があります。
「今のギアでは少し重い。でも、一段軽くすると軽すぎる」。そんな感覚が気になる人もいます。
実際、ロードバイクにフロントシングルを使う国内のライダーからも、集団で速いペースに合わせるときに、間のギアが欲しくなるという声がありました。
細かく変速して回転数をそろえたい人には、ダブルの良さがあります。一方、少し回転数が変わることより、前の変速を気にせず走れることを快適に感じる人もいます。
同じギアの間隔でも、評価が分かれる。ここは、乗る人の好みが出るところです。
自分のロードバイクにも、ありかもしれない?
フロントシングルにすると、フロントディレイラーの調整がなくなり、チェーンリング周りも掃除しやすくなります。このS5も、クランク周りがすっきりしています。チェーンの脱落を抑えるため、Wolf ToothのS5専用チェーンガードも取り付けました。

ギアを増やすことで走れる場面を広げるのも、自分が必要な範囲に合わせてシンプルにするのも、自転車を楽しむための選び方です。
「前の変速が面倒」「ギアはたくさんあるけれど、使うところはだいたい同じ」。そんなふうに感じていたら、フロントシングルも候補に入れてみてください。
ギアを減らして、操作が楽になる。S5のようなロードバイクでも、そんな組み方ができます。
普段走るコースや、今の自転車で気になっていることを教えてください。使い方に合うギアの構成を、一緒に考えましょう。
参考にした実走レビュー
しかさんの程良く偏ったブルべ話:フロントシングル化の実走インプレッション
Cyclist:Vielo R+1 Alto 1x road bike review
LOVE CYCLIST:ギア比にまつわるエトセトラと、フロントシングルの時代。