貴重な自然を100年後の未来の子供達に遺すことを目標に発足された「上関の自然を守る会」。
世界的に絶滅危惧種の貝類や、上関を唯一の繁殖地としている鳥たちが生息している、希少生物の宝庫と言われている上関の海を守り、継続していくために日々活動されている団体です。
ユネスコの「未来遺産」登録を目指して、これからも調査しながら地元の自然を伝えていくにあたって、上関の魅力をたくさんの人に体感してもらうため、アウトドア衣料メーカーの「パタゴニア」と手を取り合って古民家を改装し、体験できて勉強できてしかも宿泊できる施設「マルゴト」を建設しました。
そのオープニングパーティーに、幸運なことに私も参加することができまして、素敵な時間を過ごしてきました。
「マルゴト」は、築40年の古民家を約半年かけてリノベーションしたそうです。
ゲストハウスの中はドミトリールーム、シングルルーム、ツインルームに分かれていて、共同キッチンやお風呂、トイレもあります。
ただいま、民泊許可の申請中で、今年の夏ぐらいから営業できるそうです。
パーティーと言っても、今日のプログラムはほとんど外での体験。
地元、室津港でとれた立派な鯛を漁師さんが丁寧に説明しながら、まずは魚の締め方と血抜き作業を体験して魚拓をとってみます。
これは、自然との共存を深く重んじる地元の方々のおもてなし。
大事な命を頂いているという、単純でありながら、それをちゃんと目で見て触って体験しないとわからない「ありがたみ」を感じます。
三枚におろしてその身を食べてみる。何もつけずに本当の魚の味をいただく。
まるでグミのような弾力のある食感。
潮の香りと生臭さのない、しっかりと甘みのある身の味。
魚拓を初めてとってみる。
こんな体験もなかなかできないから、みんな没頭してしまいます。
次は、山でタケノコを掘ってみる。
土砂降りの中のタケノコ掘りもこの笑顔。
自然の中で遊び、恵みをいただき、心からありがたいと思うのは、この日参加した人たちみんなが共通して感じたことだと思います。
土からちょこっとしか出ていないタケノコは刺身で食べられると聞いて、早速皮をむいておろしていただきました。
皮をむくと、小さな小さなタケノコがお目見えです。
こちらも何も味付けせずにそのままを味わう。
「クリーミー!」
上関の地元の方々を共に動き、サポートしてきたパタゴニアの辻井さんからお話もあり。
「みんなでここへ帰ってきましょう。」と乾杯。
サザエの炊き込みおにぎりと地元のお漬物がふるまわれて、
さきほど、みんなで締めた鯛をカルパッチョでいただきます。
レモンもタケノコ掘りに行った時に取ったもの。
海のものと山のものを同時に頂く幸せ。
私たちの命はたくさんの命で保たれていると感謝の気持ちでいっぱいになりました。
今日一日、上関の方々と触れ合って話をしてみて、
一致団結して、ものすごく前向きで、全員のモチベーションが一緒な方々に、どんどん引き込まれていく自分を感じていました。
それは、上関の良さを存分に感じて帰ってほしいという心からの思いがバシーンとストレートに入ってきたから。
漁師さんといえば、無口のまま魚をさばいているイメージでしたが、ここの漁師さんは饒舌で時に冗談を混ぜながら「いつでも帰っておいで!」と何度も言う方でした。
上関の自然を守る会の代表の方は、「ここも見てごらん!」「そっちも見てみて!」と熱い想いを伝えながら、私たちに優しくガイドしてくれる方でした。
だから、私も「すぐ帰ってくるからね。」と漁師さんにスッと言えたし、代表の方のガイドを聞きながら、自然に身を乗り出して見てました。
家に帰るまでずっと残っていた、
「みんなで帰ってきましょう。」
「いつでも帰っておいで。」
という言葉。
そう。ここの自然はここに来ないとわかりません。
家族や友人と一緒に現地を訪れ、現地のフィールドで思い切り遊ぶ。
地場の美味しいものを食べて、この環境を守りたいと自然と思えてくる。
私たちの地元広島とは目と鼻の先で、同じ瀬戸内海。
上関だけにこだわらなくとも、どこの環境も、場所は違えど地球の中の同じ海と山。
一度失ってしまうと二度と取り戻せない自然を守っていこうと、まずはできることから始めていこうと、そう心に固く思ったのでした。
せっかくだから、近々帰ってみようと思います。
「ただいまー!」と。